プラスチックの海洋汚染が問題になってしますが、解決策として「生分解性プラスチック」が提案されています。「生分解性」と聞くと、微生物が分解してくれるので、捨てても大丈夫という印象を与え、多くの人が「生分解性プラスチックなら大丈夫」と思ってしまいます。実際に、個人だけではなく、企業や自治体なども生分解性だということだけで、推進してしまう場合があります。本当に解決するでしょうか?
実際は「生分解性」と言っても、ある程度の温度(50℃程度あると良いと言われています)と微生物が豊富なコンポストなどで分解が進むのであって、自然界に放置しても分解まで時間がかかります。特に水中、海中などでは温度も低く、酸素も少なく、微生物も少ない状態ではほとんど分解しない場合があります。
参考文献 https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/gch2.201700048
生分解性プラスチックを活用して、使い捨ての食器に使うという動きもありますが、海に捨てられたら何の解決にもなりません。特に比重が水より重いプラスチックは湖底や海底に沈んで、粉々になったとしても、ほとんど分解されずにマイクロプラスチック問題を引き起こす可能性があります。「生分解性プラスチックでマイクロプラスチック問題を解決できる。」とうのは全くの誤解であることがわかります。
使い捨ての食器は全て回収して環境中に投棄されないようにするか、紙など環境中に出ても問題を引き起こさない材質にすることが重要です。もし、コンポストで全てを分解するとしても、二酸化炭素以外にメタンなどの温室効果ガスも発生しますので、必ずしも環境に良いとは限りません。また生分解性プラスチックは一般的にリサイクルには不向きですので、回収する場合は生分解では無い方が良いかもしれません。
以上、生分解という言葉にだまされて安易に使い捨ての食器など、安易に環境中に捨てられてしまうような用途に使わない方が良いといえます。
参考情報 https://style.nikkei.com/article/DGXMZO38100800S8A121C1000000/
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