2015年8月18日火曜日

川内原発の再稼働が必要な4つの理由は本当か?

川内原発の再稼働に関して、もっともらしい記事を読んだ。
「川内原発の再稼働が必要な4つの理由 再稼働がもたらすリスクとベネフィット」
という題名だ。

ちょっと説明に無理があるのではないかと感じた。

まず、エネルギーの安全保障、エネルギーの入手先を分散し、エネルギーの種類を増やすと、もし何かあった場合に全て停止することが無く、エネルギー安全保障になる。確かにその通りですが、原子力はどうだろう。原発と言うのは出力調整が難しい、需要が多くても少なくても出力調整できないので困る。
つまり、変動する需要に対して必ずオンオフの簡単な電源が必要になる。3.11以前の原発が3割稼働していた時期でも、需要変動に対応しているのはほとんどが火力である。現在、原発が無くても火力で需要に対応できたが、もし、火力がほとんど止まったとすると、原子力だけでは時間帯による需要変動にまったく対応することが出来ない。もちろん、揚水発電所を増やしたり、蓄電設備を増やせば対応可能だが、蓄電を増やすなら、廃棄物の処理も決まっていない原発よりも、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを増やすべきではないか。

二つ目が、電気は足りているか、記事によると「夜間に火力で揚水して、日中のピーク時に揚水で発電している」ような事が書かれている。そもそも、揚水発電は、深夜から早朝に原発の電気が余ってしまい、出力を落とせないため、どうしても需要を増やす必要があり、苦肉の策として揚水発電が普及してきた。ピーク電力はコンバインドサイクルなどで対応可能ですし、最新のコンバインドサイクルは効率60%程度と効率も良く、短期間で設置が可能だ。老朽化した火力を使い続けているというが、3.11から4年も古い火力を使い続けて最新の火力を設置してこなかった方が問題ではないか。

電気料金いついて、原発は現在のコストを考えると安いかもしれないが、実現していない核燃料サイクルありきの見積もりであり、使用済み核燃料の最終的な行き場もコストもわからない。将来にツケを回しているだけではないか。

また、よく言われる理由が二酸化炭素の排出量、前にも書いたが、今ある稼働が可能と思われる日本の原発を全て稼働しても、全地球上の二酸化炭素の0.3%にも満たない。廃棄物のリスク、事故のリスクがある中で無理やり稼働させて減らす量だろうか?自動車や物流などでの二酸化炭素排出量、セメントの製造で発生する二酸化炭素排出量もかなり多いはずであり、ほかでも二酸化炭素削減はできるはずである。原子力を動かしたい理由に無理やり二酸化炭素排出量を大げさに言っているように感じる。

以上のように、原発を稼働させなければならない理由は、むりやりこじつけているように感じる。

2015年8月17日月曜日

原発比率は3~4割以上に増やせません。

日本の原発比率を7割8割に増やすべきだという話を聞いたことがあります。
素人ならともかく、そうでもなさそうな人でも、そう発言している人がいますので、驚きました。

原子力は出力調整は制御棒の抜き差しで簡単に出来ると思われがちですが、そうではありません。ニュースなどでも稼働から送電開始し、安定な出力得るまで何日もかかっている事がわかります。現在の原発はホウ酸水の濃度などを調整しながら、安定する運転をするまでに時間がかかり、日中と深夜の電力調整は簡単にできません。したがってベースロード電源と言われます。

深夜から早朝にかけての電力使用量は日中ピークの3~4割程度、これ以上原発を増やすと、無理やり深夜から早朝に電力を使うか、揚水発電の揚水に使うか、蓄電池に充電するかです。どうやっても7割8割に増やす事はできません。
フランスは原発の割合が多いと言われていますが、島国の日本と違って余った国外に電力を送電できます。日本でも一つの電力会社だけ原発比率を増やす事は可能ですが、全体で7割8割など、ありえないです。

揚水発電や蓄電を増やすならば、再生可能エネルギーに使う方が賢明でしょう。「二酸化炭素排出量を減らすために原発比率を増やしたい」と言っても、調整電力の火力発電をやめることができないのが現状です。

電気自動車を増やして、原発比率を増やすために、夜間電力の需要を増やしたいという目論見もあるようですが、電気自動車の普及には蓄電池の更なる電力密度向上、長寿命化、コストダウンなどが必要で、それが実現すれば、再生可能エネルギーの充電コストも下がりますので、原発を増やせる理由にはならなくなるでしょう。

2015年8月13日木曜日

日本の原発稼働で二酸化炭素排出量はどのくらい減らせるか?

川内原発の稼働が始まりました。
「二酸化炭素削減のために、原発稼働はやもうえない。」という人もいます。いったいどのくらいの二酸化炭素が削減できるのか計算してみました。
1kWhあたり、火力と原子力の二酸化炭素排出量の差は、おおよそ、
500グラム=0.5kgです。
(最新の火力は474グラム、原子力は一番良い条件で計算して20グラム
日本の年間総需要は電力会社合計で、約9000億kWh
そのうち、20%強の、2000億kWhを原発にしたとして、
2000億×0.5kg=1000億kg
=1億トン
世界の二酸化炭素総排出量は2012年で、
326億トン、そのうち日本は約12億トン
世界の約0.3%、日本の排出量の8%削減になる。
原子力の廃棄物にかかるコストや、未完成の核燃料サイクル、事故が発生したときのリスクを考えた時に、それでも削減しなければならない量なのだろうか?

ちなみに
2014年度の電力需要は,10社販売電力量合計で 8,230 億kWh,対前年伸び率 (単位:億kWh,%)  3.0 %減と,4年連続で前年実績を下回った

電力需要のピークは
2007年度の電力需要は,10社販売電力量合計で 9,195 億kWh

ピーク時から約1000億KWhも減っている。

100万キロワットの原発が70%稼働できたとして、一基あたり
100万×24時間×365日×0.7=61億3200万kWh/年
1000÷61=約16
約原発16基が不要になった計算です。

照明のLED化など、省エネが進んだからだろう。省エネの効果で0.5億トンの二酸化炭素が減っていることになります。

電源別二酸化炭素排出量
http://www.fepc.or.jp/nuclear/state/riyuu/co2/sw_index_01/

世界の二酸化炭素排出量
http://www.jccca.org/chart/chart03_01.html