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2019年3月9日土曜日

弾道ミサイルを撃ち落とせるレーザー兵器は開発できるか?

「ミサイルを撃ち落とせるレーザー兵器は開発できるか?」
大手新聞社が弾道ミサイルを撃ち落とせるかのような新聞記事を書いているので、実現可能だと信じている方々が多い様ですが、答えは物理的に不可能です。

その理由をいくつかとりあげてみます。

1)レーザー光は広がる
レーザー光で金属等を焼き切ろうとするためには、なるべく小さい面積に光を集めてエネルギーを集中する必要があります。レーザーカッターやレーザー溶接機はレーザービームを一点に集めてエネルギーを集中することで、金属を焼き切ったり、溶かしたりすることができます。遠方でもレーザー光線を小さい面積に集中できればミサイルの一部を焼き切れるかもしれません。しかし、それは不可能です。

「レーザー光線はどこまでも広がらずに照射できる」と思っている方がいらっしゃいますが、レーザー光といえども回析するので広がります。例え空気の無い真空の宇宙空間だとしても距離がはなれるほど光を一点に集めることができなくなります。これは光の性質なので、どうすることもできません。回析は光をスリットに通すとスリットから広がる現象で、物理の実験などで試したことがある人も多いとお見ます。スリットが狭ければ狭いほど広がります。

どのくらいのビーム径:D0になるか計算式は、


D0 = 4λL/πD

λ:光の波長
L:距離
D:レンズに入射するレーザー直径=レンズの直径とみなす

より遠くでレーザー光を集中させるには、より大きなレンズを使い、波長の短い光を使えば良い事がわかります。ブルーレイディスクがより大容量になったのは、波長が短い青い光を使うために、ビームが絞ることができるから、同じ面積により多くの情報を記録できるからです。

レーザー兵器の場合、例えば 800nmの赤外レーザーを、直径1メートルのレンズで、100km先でどのくらい絞れるか?計算すると直径は約10cmとなることがわかります。これは理想的な光学系が出来た場合です。
宇宙空間から打ちあがってくるミサイルを撃ち落とすとしても、1000km以上の射程は必要だろうから、10mを超えるような大きなレンズと数百キロワットの大出力のレーザーでも、短時間で金属を溶かすほどのエネルギーを集中させることはできないだろう。
読売新聞の絵にあったような、艦船から上昇して行くミサイルを撃ち落とすことは、大気の影響も考えれば不可能だとわかります。

1997 年に有賀氏によって細いビーム径を保ちつつ,あたかも回折しないかのように長距離を伝搬させることが 可能な長距離伝搬非回折ビーム(LRNB:Long Range Nondiffracting Beam)が発見されています。これを利用すれば可能性はあるのではないかという話もありますが、後半に書いておきますが、大きなエネルギーを扱う光学系は熱での変形など考えると簡単ではありません。

2)大気の影響
天体望遠鏡など高倍率の望遠鏡で数キロから十数キロ離れた山や建物を見たことがある人も多いと思うが、ゆらゆら揺れて見えることがほとんどです。よほど条件がよくなければ止まって見えません。光が空気の密度の違いで真っすぐに進んでいないので起こる現象です。三脚にレーザー装置を固定して、数キロはなれたビルの壁にあてると一点に止まらずにゆらゆらと動くはずです。
また、大気にはチリもありますので、光が散乱します。雲が出れば遮断されますし、赤外線は可視光では透明に見えても、水蒸気で散乱、遮断されます。
ということで、地上の近く、大気中でレーザーを遠方に照射することは困難です。アメリがのレーザー兵器実験は、1km程度に近づいてきたゲリラなどを撃退するためであり、何キロも離れた目標を攻撃するためのものではないことは知られています。
(産経新聞には、あたかもミサイルに変わる攻撃兵器であるかのように書かれていましたが)

3)エネルギー/熱の問題
ミサイルや戦車を破壊するだけのエネルギーを照射するためには大きなエネルギーが必要です。たぶん、10~20km程度距離でも、物体を1秒程度で破壊するためには、500kWくらい必要になると考えられます。それだけの電源が必要になります。大型の発電機を搭載できる艦船なら電源の問題は無いでしょう。しかし、ドローンにレーザー兵器を積んでミサイルを撃ち落とせるような記事を書いている新聞記事もありますが、ジャンボジェットくらいのドローンが必要になるでしょう。それも数キロに近づかないと破壊できないでしょうから、敵のミサイル発射場のすぐ近くで待機させなければなりません。まったく現実出来ではありません。

大きなエネルギーのレーザー光はレンズやミラーなどの光学系で、相手を狙わないといけません。レンズやミラーは完全に透明ではありません。透過率が99.9%だとしても、0.1%のエネルギーがレンズやミラーに吸収されるのですから、光学系の温度上昇も大きいです。500kWのレーザー光を照射すると、99.9%は透過しても500Wで加熱されます。レンズやミラーは熱で変形して精度が悪くなります。レンズに傷や埃があると、そこが過熱されて破損します。先の書いたLRNBも通信用のレーザーは扱えても、兵器用となるとエネルギーが大きく変形量も多くなり実用にならない可能性もあります。

忘れてはいけないのは、レーザー装置の発熱です。500kWのレーザーを発射すると、同程度の500kWの熱が発生します。必要な電力は倍ですから瞬間でも1000kWの電力が流せる電源が必要になります。連続運転しない1発だけであれば冷却装置は不要ですが、連続運転する場合はレーザー発生装置の冷却装置が必要ですし、光学系も冷却しなければいけません。

4)機械的な限界
遠方でレーザー光を集中させるためには大型のレンズが必要で、しかも精度も必要です。レーザー光を通過させるため熱対策も必要になります。また、この光学系を精度よく動かす必要があります。非常に小さい動きでも遠方では大きな動きになります。距離が離れれば離れるほど精度が求められます。レンズやミラーそのものを作る技術も必要ですが、それらを支え動かす装置で、しかも艦船等に搭載するとなると振動や衝撃も受けますので、それらの対策も必要になります。

5)光は反射する
鏡に光は反射します。ピカピカの金属表面に光をあてると9割は反射して、熱として金属に吸収されるのは1割にしかなりません。レーザーのエネルギーの1割しか物体を溶かすためにしか使われず、反射してしまうことになります。真っ白にペイントしてあれば吸収される熱は3割です。レーザー兵器のレーザー波長を良く反射する部材や塗料でレーザー光の威力を弱めることができてしまいます。

以上のように、数百キロ先のミサイルの一点にレーザービームを当てて、破壊するということは、不可能だと言えます。物理の法則は変えられませんから、弾道ミサイルを撃ち落とすレーザー兵器が開発できると考えるのは、永久機関が出来ると信じているのに近い感じです。大手の新聞社が、お金をかければすぐにでも実現できそうな事を書いていますが、それはありえません。ましたて、ドローンにレーザ兵器を搭載して、ミサイルを破壊できるというのは、作り話の世界です。

この読売新聞の社説にドローンにレーザ兵器搭載でミサイルを落とす話がありますが、ありえないでしょう。

2017年9月4日月曜日

ミサイルが上昇中、燃焼が終わった時点で爆発した場合

北朝鮮が8月29日に発射した「火星12」とみられる弾道ミサイルについて、もし上昇中、エンジンの燃焼が終わった高度200kmで爆発した場合、破片は日本に落ちてくるか、計算してみました。
結果は爆発した地点から約1500km以上先になりました。


上昇中のミサイル、爆発する直前のミサイルの上昇速度は毎秒2600m、水平速度は3600mとします。2600mは高度200kmからさらに約350km上昇できる速度です。
爆発でばらばらになったミサイルの破片は、マッハ3程度の秒速1000mで飛び散ったとします。
これは、前の投稿でも説明しています。

すると下向きに飛び散る破片は秒速2600m-1000mで、秒速1600mで上昇します。

秒速1600mのミサイルは高度をさらに130km上昇します。時間で約163秒、高度約330kmに達し落下がはじまります。330kmの高度から地上まで落下する時間は約259秒です。
合わせると、422秒、秒速3600mで水平移動していますから、

3600×422=1519200、約1519kmです。

では、水平速度と逆方向に飛び出した破片は、水平速度が秒速3600mから秒速1000m減るので、秒速2600mに速度が落ちます。上昇速度は失っていないので、約550kmまで到達しますので、地上に落下するまでの時間は、高度200kmから550kmまで上昇する時間265秒、高度550kmから落下する時間335秒、合計で600秒かかります。
秒速2600×600秒で、1560kmです。

下方、逆方向に飛び出した破片は、爆発した地点から1500km以上先に落下する計算になります。これを地図でみると、発射地点から1500kmですから、北海道には落下する計算になりました。


この計算は、爆発した時の速度をマッハ3くらいと、やや危険側で計算していますので、実際に爆発した場合は、1500kmよりも先に落ちると考えられます。爆発で飛び散る速度がマッハ2で後方に飛び出した破片で計算すると1750kmくらい先まで飛んでゆく計算になります。
特に質量が多い破片ほど、爆発による加速ができませんので、爆発しない場合の軌道に近いところを飛んでゆくと考えられます。




2016年10月17日月曜日

リニア新幹線に原発は向かない

東京電力柏崎刈羽原発、あるいは中部電力の浜岡原発再稼働の話題とともに出てくるのが、リニアモーターカーの新幹線には原発が必要だという議論。
でも、ちょっと考えてみると、高速鉄道に原発は不向きだ。なぜならば、高速鉄道は深夜から早朝にかけては運行しない。特に短時間で長距離を移動するリニア新幹線で深夜に移動する必要性はない、例えば品川駅を深夜0時過ぎに出て名古屋に深夜1時ころ到着するなんて利用者はほとんどいないだろう。メンテナンスもあるので、深夜から早朝は運転を止めることになる。運転を止めている時間帯の消費電力は非常に小さくなる。
一方で、原発の運転は厄介だ、出力を短時間で簡単に調整できない。だから深夜電力は安くしても使ってもらったり、揚水発電などで調整しなければならない。
もし、リニア新幹線のために原発を駆動したら、さらに深夜の電力が余って困ることになる。リニア新幹線のために原発が必要だという噂はどこから出たのかわからないが、たぶん、ありえない。オンオフの簡単な発電の方が調整しやすい。高効率のコンバインドサイクルなどが向いていると思う。
たぶん、「リニアには原発何基分の電力が必要」という話が、「リニアには原発が必要」という話にすり替わったのだろう。

2016年2月14日日曜日

海外で地震に弱い建物の見分け方

台湾でマンションが地震で倒壊しましたが、海外、特に途上国で「このホテル地震が起こったら大丈夫だろうか?」と思うことがあります。

五年前にもこのブログに書きましたが、一つはAMラジオが室内で良く受信できるかどうか?日本でマンションにお住まいの方はよくわかると思いますが、AMラジオは鉄筋コンクリートなど金属が多く使われた建物では窓際に行かないと良く受信できません。

海外である国のホテルに泊まった時に、ベットの上でごろごろしながら携帯ラジオの電源を入れると、AM放送がきれいに入ってきます。そこそこ高級ホテルですし、建物は4階建てで鉄筋コンクリート建てかと思ったら、どうもブロックかレンガを積み重ねただけの様でした。
特に地震が多い地域で、こういうホテルに長期宿泊は、遠慮したいと思います。

ただし、AMラジオは波長の長い周波数を使っているので、50cm間隔でも金属が入っていると電波を遮断しやすくなるし、送信所が近ければ良く受信できますので、あくまでも参考程度です。


2015年3月11日水曜日

安全設計、事故防止の考え方

この記事、ちょっと疑問がある。
http://www.sankei.com/column/news/150226/clm1502260001-n1.html


リスクを取りに行くと言っても、ヤマ勘、バクチではない。
安全性、事故防止を考えるなら、事故の可能性を全てリストアップしておいて、判断するもの。「設計値を超えた地震は起こらないだろう」、とか、今の原発推進を考えている人たちは、都合が悪いことは「想定外」としまっている様だ。

科学的に分析すれば、「想定外」はほとんどなくすことができるはずです。そのための手法にFMEAなどがありますが、「想定外をほぼ無くすことができる」という主張は都合がわるいのでしょう。

どんな事故や故障があるかを想定しておいて、「これ以上対策すると経済的に見あわないから、無視してやりましょう」というならわかるけど、そういう事を何も言わずに、「リスクをとれ」って、精神論と竹やりで戦争をやるようなものです。

たぶん、こういう記事を書く人たちは、何らかの根拠があるのだろうけれど、きちっと数字で確率と経済性などを比較して、説明すべきだと思います。

原子力に関して言えば、素人でも想定できるのは、「ミサイル攻撃」で、その対策は最低限必要だと思う。政府も某国のミサイル攻撃に対応するための防衛力を強化している。その一方で、ミサイル攻撃のリスクを原子力にあてはめないというのはお粗末な話である。

2014年6月10日火曜日

太陽光発電が増えても問題なし

「太陽光発電が増えると、電源が不安定になり迷惑だから、増えたら困る。」という話しを良く聞くが、本当にそうだろうか?
太陽光発電の発電量が多い時間帯は、9時~3時頃まで、その時間帯は電力使用量の多い時間帯だ。
http://www.meti.go.jp/setsuden/20110513taisaku/16.pdf
などに情報が出ている。
電力使用量の多い時間帯に発電量が多いので、迷惑にならない。情報にある、夏場のグラフを見ると、ピークの約6000万キロワットのうち1000万キロワットくらいを太陽光でまかなっても問題ないように見える。
曇りや雨の日は、発電量が少ないから、どうするのだ?という意見がある。夏場のカンカン照りの日と曇りや雨天の日では、そもそも気温が違う。その差は少なくても3~4℃以上ある。
参考文献によると、東京電力管内で1℃上がると170万キロワット余計に必要になるそうだから、4℃で680万キロワット少なくて良い計算になる。ということは、曇りや雨で680万キロワット発電できなくなっても問題ないことになる。

冬場はどうなるんだ、とか、発電量が多すぎて余ったらどうするんだという話もあるが、揚水発電の揚水を日中でも電気が余れば揚水しておけば良い。出力制御の難しい発電、特に原発が無ければ、夜間に必要以上の発電が減らせるので、休日の日中などでも電気が余れば揚水しておけばよい。

それに、今後は電気自動車の普及が進めば、余剰電力が多い日に自動車への充電量を増やすような制御をし、足りない時は電源に戻すような事をやれば良いだろう。充電できる電気自動車は、ソーラーや風量など変動電力と相性も良いし、ソーラーや風力の発電量に応じた充電制御や料金体系など、いろいろなアイデアを実現できる可能性もある。自動車の電気化が進み、それも再生可能エネルギーによる電力で充電すれば、化石燃料の使用量は減らせるので、調整用発電に火力が残っても、自動車が化石燃料の消費を減らせるので、全体としては二酸化炭素の排出量も減らせるはずである。

発電で使う化石燃料だけで二酸化炭素が増えると騒いだり、発電で使う化石燃料だけで、輸入燃料の費用を問題にする新聞記事を見るが、エネルギーはトータルで考えて、どうするのか、もっと議論を進めて考えるべきではないだろうか。

2014年2月21日金曜日

不都合な真実 地球は温暖化していない

このグラフを見たとき、どのように見えるだろうか、0.2のあたりを行ったり来たりしているが、上昇しているように見えない。地球の平均気温だが、1998年あたりから目立った上昇はしていないと言えるのではないだろうか。


二酸化炭素の増加とともに、地球温暖化が進んでいると言われるが、太陽の活動の影響か、二酸化炭素が増加しても、雲が増えて地上に届く太陽光が減るので温暖化が進まないのか、理由は色々あり複雑でわからないが、たぶんこの10年くらいは、地球温暖化は進んでいないというのが真実かもしれません。地球の気候変動は、様々な要素で変動する複雑な系で、単純な話ではなさそうだ。もちろん、二酸化炭素の量が増えれば、生態系にも様々な影響が及ぶ可能性もあるし、そもそも枯渇すると言われる化石燃料をたくさん使えというつもりも無いですが、気候変動というのは太陽活動の影響がはるかに大きいように思います。また、地球の温室効果に大きく影響するのは水蒸気ですし、水蒸気の増減は雲の発生に影響し、雲は太陽光を宇宙に反射させ、地球を冷やす。また火山が噴火すれば、地表に届く太陽光が減って気温が下がる。
我々は、報道や一部の情報だけで、「二酸化炭素増加が地球温暖化の最大の原因だから大変だ。」と騒ぎすぎているかもしれません。

情報入手先は
http://therationalpessimist.com/2013/06/05/data-watch-uah-global-mean-temperature-may-2013-release/

気象庁の情報などもありますが、観測地点の数が変わったり、都市部の影響は無いと書かれていますが、本当に都市部のヒートアイランド現象は影響無いのかなど、ウエブサイトの情報だけではよくわかりませんでした。