2019年12月21日土曜日

ガス火力発電は石炭火力発電より温室効果ガスの発生が本当に少ないのか?

発電時の二酸化炭素排出量は、炭素の塊である石炭発電が水素原子を含む炭化水素ガス発電より多くなる。世界的にも環境団体などから石炭発電が反対されているのは、二酸化炭素排出量がガス発電より多いからだ。
しかし、ガス発電はガス採掘時を含めて本当に温室効果ガスの放出量は少ないのだろうか?
ちょっと調べてみると、天然ガスの採掘で数パーセントのガスが大気中に漏れてしまうようだ、数パーセントから多い場合は十数パーセントが漏れているらしい。シェールガスもフラッキング時に地中から外にガスが出る可能性もある。
天然ガスの主成分はメタン、メタンは二酸化炭素の25倍も温室効果があるそうだ。メタンは大気中で酸素と反応して二酸化炭素と水になるが、十年以上は大気中で存在することになるので、大量に放出されれば地球温暖化に影響する。
そう考えると、石炭発電よりガス発電の方が温室効果ガスの放出が少ないと単純に言えないのではないか?

そこで、計算してみよう。
石炭の二酸化炭素排出量は0.0247tC/GJ 1ギガジュールあたり炭素量で24.7kg
天然ガスの二酸化炭素排出量は0.0135tC/GJ 1ギガジュールあたり炭素量で13.5kg
これを1気圧での二酸化炭素の容量に換算すると
それぞれ、
46.1立方メートル
25.2立方メートル
1GJの発熱量を得るために必要な天然ガスの量は
約40MJ/㎥ですから、
25立方メートル

ここで、25立方メートルの天然ガス生産時に漏れるメタンが3%とすると、
漏れ量は0.75立方メートル
これを二酸化炭素の温室効果換算すると25倍だから、
約18.8立方メートル
これと発電時の二酸化炭素排出量と足すと 25.2+18.8=44.0
石炭と比較してわずかに少ない。

もし、天然ガス生産時に漏れるメタンが4%になると、1立方メートル漏れるので、
二酸化炭素換算では25立方メートル
石炭発電の温室効果ガス排出量を上回ってしまう。

石炭採掘でガス漏れはないとして計算しているが、実際、天然ガスの採掘時の漏れ量は十数パーセントという場合もあるらしいし、不純物として二酸化炭素や他の温室効果ガスもでるわけで、採掘まで含めると天然ガス発電の温室効果ガス発生量が少ないとは限らないことになる。

参考情報
https://www.nikkei.com/article/DGXLASGM19H0O_Z10C15A8EAF000/
http://tenbou.nies.go.jp/news/fnews/detail.php?i=10246