2019年4月22日月曜日

安全性がはっきりしないモノは使わないのが原則

除草剤のラウンドアップ、日本では販売が継続されていますが、海外ではグリホサートに発がん性の懸念があるということで、禁止された国もあります。フランスでは禁止されたという報道があります。
https://www.afpbb.com/articles/-/3206613

ランドアップには、グリホサートが含まれており、2015年に国連の世界保健機関、WHOの下部機関である国際がん研究機関、IARCが「グリホサートの発がん性をグループ2Aに分類」しました。グループ2Aとは「おそらくヒトに対して発がん性がある」という意味です。
一方で、「発がん性があるとは考えにくい」という情報も米国環境保護庁などから出ています。本当は全く問題が無いかもしれませんが、WHO等の公式な機関が出している情報を全く無視してよいとは思えません。


さて、このように見解がわかれている場合、安全性に白黒がついていない状況であるときはどうするべきでしょうか?

グリホサートの人に対する発がん性の白黒がつくまでには何年かかるかわかりません。もちろん、私にもわかりませんし、どちらの見解が正しいかも少ない情報では判断できません。このような判断の出来ないときはどうするか「少しでも安全性に問題がありそうな物は使わない。」というのが、長年、製品安全にかかわってきた私の見解です。

つまり、使わないで済むならば使うべきではないということです。目的に対して代替手段がないのであれば、リスク承知で使うということもあるかもしれません。医薬品などは抗がん剤など、副作用承知で使う場合があります。しかし除草では代替手段もあります。健康被害の可能性が少しでもあれば、多少不便になったとしてもならば使用を避けるべきでしょう。

過去に日本では水俣病などで、ウソとも言える研究成果が出回り対応が遅れてしまい被害が拡大しました。正しい認識をしていた人たちもいましたが、無視され続けて、被害が拡大しました。
水銀を規制する水俣条約ができたのは、つい最近の事です。
https://www.meti.go.jp/press/2017/05/20170519007/20170519007.html
化学物質の危険性の白黒がつくのには、長い時間がかかることが多いです。諸外国では疑わしいので禁止するが、日本ではいまだに、経済優先なのか、グレーの場合は規制せずです。水俣病の反省が活かされていないような気もします。

2019年4月19日金曜日

建設、工作、工事現場での火災防止

4月16日の朝、ノートルダム大聖堂の火災という残念なニュースが入ってきた。
原因はまだ不明だが、工事中だったという話だ。
過去にも建造中の客船が火災になったり、建設中や補修中の建物や道路で火災が発生したりしている。どうしたら出火を防ぐことができるだろうか?
いくつか原因を書いてみますので、参考にしてください。

【溶接による出火】
溶接で近くに可燃物があり燃えたという話はよくある。基本は現場の整理整頓、それからよくある誤解が、難燃性と不燃性、難燃性は着火しにくいだけで大きな熱が加われば燃え出す。溶接している場所の裏側に可燃物がたくさんあったなどいう話もある。十分注意するしかないだろう。
忘れやすいのは、電気溶接の場合のグランドのクランプ、接触不良があると火花が飛んだり接触部分が過熱して、可燃物があれば燃え出すこともある。接触不良は溶接する金属に塗料なので被覆があったり、サビていたりする場合。または、うっかり溶接部とグランドのクランプ部分との間がネジ一本でしかつながっていないため、電流が流れたとたんにネジが加熱するということもある。電気溶接はグランドのとりかた、電流の流れるルートなどを良く確認する必要がある。

【グラインダーの火花】
溶接部などを綺麗に整えるためグラインダーを使う事がある。現場でカッターで鋼材を切断する事もある。そして、火花の飛んで行く先に可燃性の物があると着火する可能性がある。試しに油の染み込んだぼろ布を火花の飛ぶ方向に置いて試したところ簡単に火がついた。麻袋なども着火する。グラインダーを使用する場所には可燃物を持ち込まない。または、不燃物で覆うなどが必要だ。

【電気による出火】
工場でも、工事現場でも、大電流の工具などを使う時に、アウトレット(コンセント)部分にプラグを差しても、ゆるゆるの場合がある。接触点が少なく抵抗を持ってしまうと、そこで発熱する。ヘアドライヤーなど使い終わった直後にプラグを触ると熱くなっている経験がある人も多いでしょう。小さな抵抗でも大電流が流れれば発熱も大きくなります。ねじ止めしている端子なども同様。仮設の電気配線が端子のねじ締め忘れで、その部分が発熱する場合もあるので、配線は特に端子部分を念入りにチェックすべきである。
有名な現象としてあるのは、プラグの端子間に埃がたまったりして起こるトラッキング現象、特に埃が多いところ、木工や木造建築現場などでは、おが屑でコンセントが埋もれていたりして、湿度の多い梅雨の時期に電流が流れて発火する火災も起こっているので要注意です。最近は少ないが白熱電球など熱の発生が多い電球に可燃物が触れて発火する事故もある。発熱しそうな部分、接触不良を起こしそうな部分、その周囲や直下は特に可燃物が無いことをよく確かめておく必要があります。

【ガソリン】
電源が無い現場で、ガソリンエンジンの発電機を使うことがありますが、エンジンを止めずに給油したり、ガソリンをポリタンクで持ち歩足り、中にはタバコを吸いながら給油作業する強者もいますが、静電気でも発火する可能性があるので、十分注意が必要です。その他、灯油、塗装のシンナーなど危険物といわれるものも多いので管理を怠ってはいけません。

【タバコ】
工事現場でのタバコのポイ捨て、乾燥している時期や、塗料などの可燃物があるところでは、うっかり火災の原因になることがありそうです。

まとめると、火を使うもの、電気を使うもの、可燃物、埃がたまるところ、手抜きなど、基本的な注意を怠っておこることがほとんどです。
今からでも、今日からでも遅くありません。事故が起こる前に、まずは、身近なところからチェックしよう。






2019年4月8日月曜日

マイクロプラスチック問題解決にならない「生分解性プラスチック」

プラスチックの海洋汚染が問題になってしますが、解決策として「生分解性プラスチック」が提案されています。「生分解性」と聞くと、微生物が分解してくれるので、捨てても大丈夫という印象を与え、多くの人が「生分解性プラスチックなら大丈夫」と思ってしまいます。実際に、個人だけではなく、企業や自治体なども生分解性だということだけで、推進してしまう場合があります。本当に解決するでしょうか?
実際は「生分解性」と言っても、ある程度の温度(50℃程度あると良いと言われています)と微生物が豊富なコンポストなどで分解が進むのであって、自然界に放置しても分解まで時間がかかります。特に水中、海中などでは温度も低く、酸素も少なく、微生物も少ない状態ではほとんど分解しない場合があります。
参考文献 https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/gch2.201700048

生分解性プラスチックを活用して、使い捨ての食器に使うという動きもありますが、海に捨てられたら何の解決にもなりません。特に比重が水より重いプラスチックは湖底や海底に沈んで、粉々になったとしても、ほとんど分解されずにマイクロプラスチック問題を引き起こす可能性があります。「生分解性プラスチックでマイクロプラスチック問題を解決できる。」とうのは全くの誤解であることがわかります。
使い捨ての食器は全て回収して環境中に投棄されないようにするか、紙など環境中に出ても問題を引き起こさない材質にすることが重要です。もし、コンポストで全てを分解するとしても、二酸化炭素以外にメタンなどの温室効果ガスも発生しますので、必ずしも環境に良いとは限りません。また生分解性プラスチックは一般的にリサイクルには不向きですので、回収する場合は生分解では無い方が良いかもしれません。

以上、生分解という言葉にだまされて安易に使い捨ての食器など、安易に環境中に捨てられてしまうような用途に使わない方が良いといえます。

参考情報 https://style.nikkei.com/article/DGXMZO38100800S8A121C1000000/

2019年3月9日土曜日

弾道ミサイルを撃ち落とせるレーザー兵器は開発できるか?

「ミサイルを撃ち落とせるレーザー兵器は開発できるか?」
大手新聞社が弾道ミサイルを撃ち落とせるかのような新聞記事を書いているので、実現可能だと信じている方々が多い様ですが、答えは物理的に不可能です。

その理由をいくつかとりあげてみます。

1)レーザー光は広がる
レーザー光で金属等を焼き切ろうとするためには、なるべく小さい面積に光を集めてエネルギーを集中する必要があります。レーザーカッターやレーザー溶接機はレーザービームを一点に集めてエネルギーを集中することで、金属を焼き切ったり、溶かしたりすることができます。遠方でもレーザー光線を小さい面積に集中できればミサイルの一部を焼き切れるかもしれません。しかし、それは不可能です。

「レーザー光線はどこまでも広がらずに照射できる」と思っている方がいらっしゃいますが、レーザー光といえども回析するので広がります。例え空気の無い真空の宇宙空間だとしても距離がはなれるほど光を一点に集めることができなくなります。これは光の性質なので、どうすることもできません。回析は光をスリットに通すとスリットから広がる現象で、物理の実験などで試したことがある人も多いとお見ます。スリットが狭ければ狭いほど広がります。

どのくらいのビーム径:D0になるか計算式は、


D0 = 4λL/πD

λ:光の波長
L:距離
D:レンズに入射するレーザー直径=レンズの直径とみなす

より遠くでレーザー光を集中させるには、より大きなレンズを使い、波長の短い光を使えば良い事がわかります。ブルーレイディスクがより大容量になったのは、波長が短い青い光を使うために、ビームが絞ることができるから、同じ面積により多くの情報を記録できるからです。

レーザー兵器の場合、例えば 800nmの赤外レーザーを、直径1メートルのレンズで、100km先でどのくらい絞れるか?計算すると直径は約10cmとなることがわかります。これは理想的な光学系が出来た場合です。
宇宙空間から打ちあがってくるミサイルを撃ち落とすとしても、1000km以上の射程は必要だろうから、10mを超えるような大きなレンズと数百キロワットの大出力のレーザーでも、短時間で金属を溶かすほどのエネルギーを集中させることはできないだろう。
読売新聞の絵にあったような、艦船から上昇して行くミサイルを撃ち落とすことは、大気の影響も考えれば不可能だとわかります。

1997 年に有賀氏によって細いビーム径を保ちつつ,あたかも回折しないかのように長距離を伝搬させることが 可能な長距離伝搬非回折ビーム(LRNB:Long Range Nondiffracting Beam)が発見されています。これを利用すれば可能性はあるのではないかという話もありますが、後半に書いておきますが、大きなエネルギーを扱う光学系は熱での変形など考えると簡単ではありません。

2)大気の影響
天体望遠鏡など高倍率の望遠鏡で数キロから十数キロ離れた山や建物を見たことがある人も多いと思うが、ゆらゆら揺れて見えることがほとんどです。よほど条件がよくなければ止まって見えません。光が空気の密度の違いで真っすぐに進んでいないので起こる現象です。三脚にレーザー装置を固定して、数キロはなれたビルの壁にあてると一点に止まらずにゆらゆらと動くはずです。
また、大気にはチリもありますので、光が散乱します。雲が出れば遮断されますし、赤外線は可視光では透明に見えても、水蒸気で散乱、遮断されます。
ということで、地上の近く、大気中でレーザーを遠方に照射することは困難です。アメリがのレーザー兵器実験は、1km程度に近づいてきたゲリラなどを撃退するためであり、何キロも離れた目標を攻撃するためのものではないことは知られています。
(産経新聞には、あたかもミサイルに変わる攻撃兵器であるかのように書かれていましたが)

3)エネルギー/熱の問題
ミサイルや戦車を破壊するだけのエネルギーを照射するためには大きなエネルギーが必要です。たぶん、10~20km程度距離でも、物体を1秒程度で破壊するためには、500kWくらい必要になると考えられます。それだけの電源が必要になります。大型の発電機を搭載できる艦船なら電源の問題は無いでしょう。しかし、ドローンにレーザー兵器を積んでミサイルを撃ち落とせるような記事を書いている新聞記事もありますが、ジャンボジェットくらいのドローンが必要になるでしょう。それも数キロに近づかないと破壊できないでしょうから、敵のミサイル発射場のすぐ近くで待機させなければなりません。まったく現実出来ではありません。

大きなエネルギーのレーザー光はレンズやミラーなどの光学系で、相手を狙わないといけません。レンズやミラーは完全に透明ではありません。透過率が99.9%だとしても、0.1%のエネルギーがレンズやミラーに吸収されるのですから、光学系の温度上昇も大きいです。500kWのレーザー光を照射すると、99.9%は透過しても500Wで加熱されます。レンズやミラーは熱で変形して精度が悪くなります。レンズに傷や埃があると、そこが過熱されて破損します。先の書いたLRNBも通信用のレーザーは扱えても、兵器用となるとエネルギーが大きく変形量も多くなり実用にならない可能性もあります。

忘れてはいけないのは、レーザー装置の発熱です。500kWのレーザーを発射すると、同程度の500kWの熱が発生します。必要な電力は倍ですから瞬間でも1000kWの電力が流せる電源が必要になります。連続運転しない1発だけであれば冷却装置は不要ですが、連続運転する場合はレーザー発生装置の冷却装置が必要ですし、光学系も冷却しなければいけません。

4)機械的な限界
遠方でレーザー光を集中させるためには大型のレンズが必要で、しかも精度も必要です。レーザー光を通過させるため熱対策も必要になります。また、この光学系を精度よく動かす必要があります。非常に小さい動きでも遠方では大きな動きになります。距離が離れれば離れるほど精度が求められます。レンズやミラーそのものを作る技術も必要ですが、それらを支え動かす装置で、しかも艦船等に搭載するとなると振動や衝撃も受けますので、それらの対策も必要になります。

5)光は反射する
鏡に光は反射します。ピカピカの金属表面に光をあてると9割は反射して、熱として金属に吸収されるのは1割にしかなりません。レーザーのエネルギーの1割しか物体を溶かすためにしか使われず、反射してしまうことになります。真っ白にペイントしてあれば吸収される熱は3割です。レーザー兵器のレーザー波長を良く反射する部材や塗料でレーザー光の威力を弱めることができてしまいます。

以上のように、数百キロ先のミサイルの一点にレーザービームを当てて、破壊するということは、不可能だと言えます。物理の法則は変えられませんから、弾道ミサイルを撃ち落とすレーザー兵器が開発できると考えるのは、永久機関が出来ると信じているのに近い感じです。大手の新聞社が、お金をかければすぐにでも実現できそうな事を書いていますが、それはありえません。ましたて、ドローンにレーザ兵器を搭載して、ミサイルを破壊できるというのは、作り話の世界です。

この読売新聞の社説にドローンにレーザ兵器搭載でミサイルを落とす話がありますが、ありえないでしょう。

2018年8月4日土曜日

自由研究にOECD(経済協力開発機構)のデーターを使おう

新聞記事などに登場するOECD(経済協力開発機構)には、様々な統計データが掲載されています。例えば最近話題になっている、女性医師の割合の国別比較などが可能です。
ビジネスの様々な資料作りから、ファクトチェック、夏休みの自由研究まで、活用できます。
統計情報 https://stats.oecd.org/
主要な情報日本語ページ https://www.oecd.org/tokyo/statistics/

2018年7月9日月曜日

蓄電コストはが下がり、原発は無駄になる

世の中には、なぜか再生可能エネルギーを快く思わない人がいます。そして、必ず言う事は「太陽光も風力も出力が不安定で使い物にならない」である。実際、数が多ければ変動は小さくなるし、そもそも需要も大きく変動しているので日本の現状では大騒ぎするほどの事はない。
さて、今後さらに再エネを増やすために重要な技術は蓄電である。揚水発電なども蓄電の一つですが、場所も限られるので、今後大きく増やすことはできない。一方蓄電池は寿命が短くコストが高いという欠点がある。ただし、蓄電池での蓄電コストが高いのは今現在の話である。
蓄電池は自動車やドローン、携帯電話、など様々な目的のために、製造原価の削減とサイクル寿命の高寿命化を目指して今でも開発が続いている。一回の充電で1000kmを超えるような自動車ができれば儲かることが分かっているので、投資も増えているのでしょう。
同じコストの蓄電池でも寿命が倍になれば蓄電コストは半分で済む。蓄電コストはどのくらい下がっているだろうか?住宅用蓄電池はこの10年で半額以下、寿命も倍くらいに伸びているので、蓄電コストは10年で4分の1に下がっている。おおよそ5年で半分の計算になる。10年で4分の1、15年で8分の1、20年で16分の1の計算になる。
現在はまだ、1kWhあたり30円~50円くらいする。これが2040年ころには20分の1前後まで下がる可能性がある。1kWhあたり、1.5円~2.5円くらいになる。
太陽光発電の発電単価は7円/kWhくらいにはなるので、電力のコストは充電を含めても10円以下になる。
電力の分散化が進めば、中央集権型の電力のように長距離送電も不要になり、災害にも強くなる。途上国など電力が乏しい地域にもいっきに拡大できる。安い分散化電力が当たり前になるり、自動車もEV化が進むので、自動車も蓄電設備としての役割を兼ねるようになり、さらに蓄電が加速することになるだろう。それでも、今から原発新設など無駄な投資はやめたほうが良い。原発が40年の寿命を迎える前に、もっと安い電力で原発は無駄になるだろう。

2018年6月4日月曜日

日本は森林や農地を利用せずに、太陽光だけで電力をまかなう事ができるか?

蓄電コストが下がったら、日本は太陽光発電だけで電力はまかなえるか?
それも、森林や農地を破壊せずに実現きるか?

答えはNo


住宅地の10%で太陽光発電なら可能な値ではないだろうか?
日本の住宅地面積は111万ha、道路や学校、工業用地などは含まない。住宅地のうち約10%を太陽光発電に使えるとすると、10万ha以上になる。

1平方メートルあたりの平均発電量は一日あたり300Whくらい。
晴天率や太陽の角度によって発電量は異なるが、日中平均で一時間あたり25Wh発電できれば、一日平均で300Whくらいは発電できる計算です。

1haでは10000平方メートルだから、3000kWh/日になる。

さらに、10万ヘクタールでは
100,000×3,000kWhだから、300,000,000kWh/日になる。

年間に換算すると365倍して、1000億kWh/年