2017年8月28日月曜日

電気自動車が普及すると、発電所が沢山必要になるのか?

電気自動車が普及したら、どの程度の発電所を追加する必要があるか?

100万台で100基とかウソっぽい計算をする人がいましたので、自分で計算してみることにしました。

運送用の大型貨物車(トラック)のEV化は、今後どうなるかわからないので、まずは、乗用車だけで計算してみましょう。
日本の乗用車の台数は、約5000万台です。また、1台あたりの平均の年間走行距離は、10575kmだそうです。
365日で割ると、一日の平均走行距離は29kmです。
電気自動車の電費は、車種によっていろいろになりますが、5km/kWh程度とします。
(調べると4~10km/kWhなので、少し悪い数値を使って、5km/kWhとしました。日産リーフは1kWhあたり10kmと言われていますので、その倍の電力を想定しています。)


そうすると、一台の平均は5.8kWh/台・日の電力消費量になります。
充放電の損失も考えて、6kWhとして計算しましょう、5千万台だと、合計で3億kWh/日です。
24時間で割ると、平均1250万キロワットの発電量が余計に必要になります。原発12~15基分くらいの発電所を増やさないと供給できない数値です。
これを年間で計算してみましょう。年間365日で、1095億kWh/年です。
現在の年間電力需要は1兆kWh/年よりやや少ない程度ですから、総需要が10%強伸びる程度です。
実際の電力需要は、照明をはじめとして省エネが進んでいますので、総需要は2007年をピークにすでに、10%くらいは減っています。さらに減ることが予想できます。今後、再生可能エネルギーによる発電もさらに拡大しますので、一般の乗用車が全てEVになっても、発電所の数は増やさなくても足りそうです。また、駐車している時間の長い一般の乗用車は再生可能エネルギーの発電量によって、充電電流を制御する事も可能で、再生可能エネルギーの調整の役割も可能であり、再生可能エネルギーとの親和性も高いといえます。

電気自動車の普及で、発電所をたくさん増やさないといけないというのは誤解です。

参考資料自動車の台数と走行距離
http://www.mlit.go.jp/jidosha/iinkai/seibi/5th/5-2.pdf

電力需要
http://www.fepc.or.jp/enterprise/jigyou/japan/

リーフの燃費
https://ev1.nissan.co.jp/LEAF/RORA/QUESTIONS/DETAIL/399





2017年8月8日火曜日

日本の自動車メーカーはどこに向かうのか?将来の車のスタイル

 トヨタ自動車とマツダは2017年8月4日、業務資本提携に関する合意書を締結したと発表した。彼らは何を目指すのだろうか?日本の自動車産業はどこで諸外国の競合と戦うのだろう?トヨタは今でも水素自動車の宣伝をやっているが、水素ステーションという高コストで扱いにくいインフラを全世界、津々浦々まで設置するなどありえない。そうなる主流はやはり電気自動車、EVのはずだ。

 私個人の見解としては、将来、車は大きく3つのスタイルに分かれる考えている。 1つ目は、アメリカなど大陸先進国スタイル、テスラが目指しているような電気自動車だ。住宅や職場が分散しており、車が生活必需品で、毎日100km以上走る車が多い人たちに向けた自動車だ。ステータスや趣味の要素も残ると考えられる。高速道路では早期に自動運転が導入されるであろう。ここでは、一回の充電での後続距離を要求される、大きめの車が望まれる。もちろん、家庭や職場の駐車場でも充電できるものが望まれる。


 2つ目は都市型、大都市では交通網が発達している一方で駐車場もコストがかかる。そこではカーシェアが普及する可能性がある。特にヨーロッパの都市やシンガポールなどではタクシーにとって代わり、自動運転化やコモディティー化が進むであろう。都市部で効率的に走行させるため、小型な車が主流になる。


 3つめは途上国型、二輪車の延長、途上国では今でもバイクに家族で乗っている姿を見る。荷物の運搬にはロバやラバを使っているところがある。これらの置き換えだ。移動距離は30kmくらいで生活に必要な道具である。スピードは不要、安価で省エネ、家庭用コンセントや数枚の太陽光発電で充電できるくらいの車である。ガソリン1リットルの価格が一日の日当より高い地域では先進国のような車は持てないし、もし中古の車を購入できてもガソリンが購入できない。そこで、コストが30~40万円程度、乗り心地は多少悪くても安価で実用になるEVが好まれるであろう。


 さて、この3つのスタイルのうち、日本のメーカーが狙うのはどこだろうか?アメリカに乗り込んでテスラなどと競争するのか?2つ目のカーシェアは市場としては大きくなる可能性がある。これはカーシェアビジネスと組んで進めるか、メーカー自ら取り組むかであるが、日本のメーカーは取り組みが進んでいない。3ついては、日本のベンチャー、テラモーターズなどが狙っている、市場は大きいが、技術的な参入障壁が低そうなので、どこで差別化するかは難しい。


 今年はヨーロッパなので内燃機関の車を廃止する動きが始まり、自動車メーカーは大きな岐路に立たされている。車載情報機器などと言っているが、極端な話、スマートフォンを持ち込めば済むようなシステムにわざわざお金を出すとは思えない。個性や走りなど、モーターの制御でガソリンエンジンなどと比較すると簡単に調整できてしまう。どこで差別化するのだろうか。
 一つだ
け言えることは、自動車にとって、更なる省エネ、死亡事故ゼロ化などの安全性、盗難防止、省スペースなど、多くのやるべき課題が残っている。電気自動車であれば蓄電池の性能向上。これらの基本的な課題に愚直に取り組むメーカーが最後に残るような気がする。自動車メーカーやその傘下の方々、日本の自動車産業はどこに向かうべきか、あちこちで議論して、斜陽産業とならないようにしてほしい。