2019年5月1日水曜日

風力発電とバードストライク

風力発電の増加で、風車でのバードストライクはカウントしやすく目立つので問題視され、風力発電のネガティブキャンペーンに使われることが多いですが、どの程度問題なのか調べてみました。実際に鳥類が被害を受ける原因は何があるのでしょう。

2005年のアメリカの論文によると、年間の鳥類被害の原因は

ビル 5億5千万件
送電線 1億3千万件
猫類(飼い猫、野良猫)の被害 1億件
自動車への衝突 8千万件
農薬 6千7百万件
通信塔 4百50万件
風車 2万8千5百件
航空機 2万5千件

この情報を見ると、特に対策すべきは、ビルです。ガラス張りの高層ビルを制限するほうが鳥類への影響を減らせるかもしれません。次は送電線でしょう。
風力発電での被害が多くないのは、集計した時点での風車の数が少ないから少ないのですが、風車が1000倍に増えても3千万件です。送電線が増える方が鳥類に与える影響が大きいかもしれません。風力以外の発電だからバードストライクは無いという事にはなりませんから、送電線の地下化や、中央集権型の長距離送電ではなく、地産地消の電力の普及を進める事で減らせるかもしれません。

風車でのバードストライクは猛禽類など特定の鳥類が被害に遭いやすなどがあるようですし、対策はもちろん必要だと思います。しかし、目立つからとそこばかり騒ぐのではなく、情報を良く確認して、大きな原因から手を打ってゆく必要があると思います。

参考資料
A Summary and Comparison of Bird Mortality fromAnthropogenic Causes with an Emphasis on Collisions

http://www.yamashina.or.jp/hp/yomimono/windpower_and_birds.html