2010年9月23日木曜日

機能しないナレッジマネジメント

「ナレッジマネジメント」という言葉が流行り始めて10年以上過ぎたが、効果的に運用できている企業は少ないのではないだろうか?理由は色々ありそうだが、「ナレッジ」よりも「マネジメント」に力が入りすぎてしまう傾向があるのだろう。人間の習性かもしれないが、組織を管理したがる傾向がある。また、大きな組織ほど、「管理すること」「管理する仕組みを作ること」を仕事とする人が増えてしまい、以前と変わらない状況になってしまっている。顧客情報の漏洩事件なども相次ぎ、情報の管理に敏感になりすぎて、ルールばかり増やしてしまい。本来必要な社内での情報の自由な流通を妨げてしまっている。
従業員数人の零細企業ではナレッジマネジメントなどというものは必要ない。誰が何が得意だとか、今何に困っているか、など社長からアルバイト従業員までみな判っているのが普通だ。小さい企業は小回りも利き、デシジョンも早い。ただ、規模が大きな仕事や、全国に展開するような仕事は大きな企業でなければ出来ない。
そこで登場するのが「ナレッジマネジメント」のはず、大企業でも中小企業のように小回りが利き判断が早く、競争力のある企業を実現するためにある。ところが、多くの企業で十分機能していない、主な理由は簡単なこと。仕組みだけ導入し、仕事のやり方やルールは以前のままだからだ。現場に権限を委譲せず、現場の判断を信用していないことだ。
トップの方針を判りやすく現場に伝え、誰が判断してもトップが判断するのと同じ結論になるようなナレッジを現場に展開していないからだ。社内の合意に時間をとられ、お客様と向き合う時間が減ってしまう。さらに、マネージャー層の中には、一般社員と差別化するために、上位からの情報の差だけでマネジメントしようとする人が出てくる。情報を伝えもしないで「君の言っていることは間違っている。こんなことも知らないのか。私の言うことがトップの方針を受けているんだ。」のようなマネジメントだ。自分にマネジメント能力が無いのに、昨今の「情報漏えい防止」を理由に、自分の都合の良いマネジメントをする連中も多いのかもしれない。
ナレッジマネジメントで会社を活性化しようと思うなら、ハード面よりもソフト面にもっと力を入れるべきだろう。ナレッジマネジメントを本気で考えるなら、経営層は、「ナレッジマネジメントであたかも小さな企業のようなスピードで仕事が出来ているか?」を指標にすべきではないだろか?

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